2022年1月

私は大福モチ(徳島ではあん餅)が大好きだ。
近くのモチ屋さんで大福モチを買った。
一雄は甘いものは食べない。
モチは好きだが、これまで大福モチは食べなかった。
私は、一雄は甘いものは糖尿病に悪いし、嫌いだと思い込んでいた。

1月7日、一人で大福モチを食べていると、一雄が「食べる」と言ったので驚いた。
せっかく生きて元気に出てきた命、支援者皆さんの闘いがあって出られた命。私は、糖尿病に差し支えない程度においしいものを食べてほしいと思っていた。
しかし、これまで頑として食べなかった。
2年ほど前から少しずつ魚も肉も食べ始めた。最近は食後に「デザート」と言うようになり、驚いていた。

「大福モチおいしい?」と聞くと「おいしい」と言った。

一雄は、子どものころは貧しくて大福モチを食べたくても食べられなかった。
刑務所に入っても大福モチは出なかったし、獄中で糖尿病になって以降は甘いものは食べなくなった。
仮出獄後、食べられる機会はあったが、体調を気にして食べなかった。そのことを私は好きでないので食べないと思っていた。
でもただ「食べない」と決めていただけだったのだ。
その意志の強さにも驚く。

おいしいものをおいしいと食べる、その普通の事も、これまで彼は頑なに「食べない」との意志を貫いた。

生きる・闘う、そのために・・・・・・・

まもなく83歳、少しくらい体調を悪くしても「おいしい」と思える時間があってほしい。

このような小さな出来事がうれしいと思う一日だった。