SAYAMA

映画『みえない手錠をはずすまで』を観て

              たけうち ようこ
 『無罪』の判決が
出たら 
「ひとりでケニアに行ってみたい」
という 石川一雄さん
どうして?
「動物が大好き だから・・・」

「夜間中学にも通いたい」
どうして?
「勉強がしたいから・・・」

ケニアか 中学か
どちらを先にするか
迷う 一雄さん
「ケニアを先にしたら?」
と 妻の早智子さん

茶の間での
何気ない夫婦ふたりの 会話
ふたりの日常 が
金聖雄監督のあたたかい眼差しで
映し出される

わたしも狭山でふたりと炬燵に入り
お茶を飲んでいる感覚
「そうよ、ケニアを先にしたら・・・」
客席からの わたし
 


むかし むかし
51年前の”狭山事件”
若かった私は 冤罪に 憤った
一雄さんは 殺っていない

20年前
仮釈放になった一雄さん
まもなく
支援者の早智子さんと
徳島の海で泳ぎ 愛し合い
結婚した

その頃 わたしも
石川夫妻と支援者に交じって
狭山の現場を
歩き 無実を確信

歳月がゆき
石川一雄さんも わたしも
同年の75歳
2014年 寒くなるまでに
『無罪』
判決の2文字を信じて 待とう

映画のエンディングの曲を聴き
「正義とは」を
ふかく問われた
帰りの電車の中
家に着いてからも・・・
ずっと
 ずっと

(2014年7月8日 ポレポレ東中野にて)