第38次高裁前アピール  2018年12月20日

 今年最後の高裁前での行動に高裁前を埋め尽くすほどの人が来てくださった。
コートを着ていると暑いくらいの日差しの中、いつもは多くの抗議行動、情宣行動の人たちと一緒になり、マイクを譲り合いながらの行動になるのだが、この日は狭山の行動だけだったので、多くの人がマイクを持ち「鑑定人尋問を行え」「証人調べを行え」と訴えた。東京、埼玉、千葉、神奈川、山梨、東京清掃労組・人権交流会、フェイスブック「狭山事件の再審を実現しよう」の仲間たち、共闘の皆さん、毎回必ず来て下さる曹洞宗、キリスト教の皆さん、ハンセン病回復者・石山春平さんのお連れ合いの絹子さん。

 
 大阪のbinさんから耳あてのついた帽子とマフラーの
プレゼント「寒くないように」と
♡♡心があったかい

足利事件の菅家利和さん、布川事件の桜井昌司さん、住民の会・市民の会、埼玉県連女性部の皆さん、千葉から私と同姓同名(字は違う)の幸ちゃんが「今年最後のアピール行動日なので、この日に体調を合わせて来ることができました。何もできないけれど、私の気持ちを行動で表すことができる場です」と話された。アピールが終わり、帰ろうとしたとき、私の荷物の上に彼女からの封筒があった。「石川薫 作品集  油彩・水彩、ペン画、鉛筆画」の素敵な作品を、桜井さん、菅家さん、袴田さん、石川に頂いた。「袴田さん、石川さんにはほんの少しでも心が慰めになれば、裁判に勝利した桜井さん、菅家さんにはよく頑張りましたねとの思いを込めて」とあった。2003年最愛の夫に旅立たれ、寂しさの中でこの作品集を作ったそうだ。身近にある野菜や花がやさしいタッチで描かれていた。12月25日「冤罪音楽プロジェクト イノセンス クリスマスライブ」がJR武蔵小金井駅南口の宮地楽器ホールで開かれ、そこで皆さんに会うのでお渡しします、と連絡した。山梨のTさん、友人と一緒に来てくださった。体調をくずし、ほとんど外出をしない彼が狭山だけは来て下さる。

   
左から桜井さん、石川、石山さん 
多くの署名を頂きました

 
 ピクルス !(^^) オイシイ

マイクを握った埼玉のHさんは「私も学校にあまりいけなくて、文字をほとんど知らなかった。石川さんんの苦しみは私の苦しみだった。文字をほとんど知らない人が脅迫状を書こうと思うことは絶対にない。思いもつかないことだ」と訴えた。石川と同じ苦しみの中で生きてきたHさんの心の叫びが胸に響いた。
神奈川のはるみちゃん、今回もたくさんの手作りケーキを。これまで他団体とマイク情宣の時間を調整しながらなので、マイク情宣の時間があまりなかったが、今回は多くの人がマイクを握った。人権交流会のGさんが久しぶりにマイクを握る。この時だけは石川の厳しい表情が柔らかくなり、思わず笑顔も浮かぶ。Gさんからおいしいピクルスを頂く。
 信濃毎日新聞のKさん、フランス雑誌社のお二人の取材もはさみながら、いつもながらの熱い思いのつまった行動だった。

アピール行動後、部落解放同盟中央本部に帰り、信濃毎日新聞からの取材。長野出身のもろさわようこさん(女性史研究家)の連載をされるそうで、もろさわさんや、もろさわさんとゆかりのある人たちを取材されているそうだ。

フランスの雑誌社の方たちは27日狭山に来られる。フランスといえばカルロス ゴーンさんが今大きく取り上げられている。マスコミで取り上げられている報道の事実、真実はわからないが、そのことを外れて、彼の功績は、日本の中世的な、司法の在り方を世界中に知らせたことだ。人質司法、身柄を長期に拘束し、家族との面会の制限や、取り調べ時の弁護士の立会いができないことなど、容疑者を孤立させ自白を強要する日本の司法の在り方が「前時代的」と海外から批判されている。これまでも狭山の戦いで司法の民主化を叫び続けてきたが、今回逮捕されたゴーンさんの米紙報道の中に「日本の司法制度は国際企業の幹部でなく、『やくざ』にこそふさわしい」との報道もあるとの海外からの批判に検察は「それぞれに歴史と文化があるので批判はいかがなものか」と反論したそうだ。オーストラリアの拘置所には、キッチン付きの房があったり、イタリアには廊下に電話ボックスもあるという、面会室に仕切りもないそうだ。いままであまり伝わらなかった日本の司法のあまりにひどい人権侵害のありようがやっとマスコミに大々的に取り上げられているのも、世界的なカリスマ経営者といわれるゴーンさんの存在があったからだろう。
 昨夜のニュースで、東京地検は、異例の決定で、ゴーンさんは、明日(21日)にも保釈されるのでないか、と報道されていた。裁判官が、海外からの批判、世論を意識したのだろう。このことは今後の司法の在り方に大きく影響するのでないか、と思うし、そうあってほしい。
 また、松橋事件でも20日熊本地裁で、熊本地検が「有罪立証しない」とし、再審無罪に大きく進んだ。「有罪立証しない?」できなかったんでしょと言いたい。この事件も証拠開示で動いた。早ければ来年2月8日に再審裁判が開かれるそうだが、事件発生から34年、警察、検察の犯罪を立証してもらいたい。
狭山事件は、証拠開示によって、有罪とされた証拠が無実の証拠となり、次次と真実が明らかにされている。検察、警察の責任、犯罪の大きな闇が今明らかにされようとしている。