2005年6月21日、曹洞宗神奈川県第2宗務所の人権擁護推進委員会で狭山事件のお話をさせていただく機会をいただきました。曹洞宗として「人権啓発ビデオ『曹洞宗と部落差別問題・狭山事件』を昨年作っていただき、現在、そのビデオ上映活動を推進してくださっています。
 
 21日の講演会の日までに、第2宗務所・人権担当をされているSさんから何度も打ち合わせのご連絡を頂きました。「皆さんに狭山事件の本人である石川さんの話を聞いていただきたい、直接話を聞いていただけば、皆さんも共感、共鳴されるとおもう。私も昨年狭山現地に伺い、石川さんの訴えを聞かせて頂いた。そのときからここに来て頂きたいと思っていました」と伺いうれしく思いました。

 M所長さんから「狭山事件は見逃すことが出来ない事件であり、事実をしっかり受け止め、差別解消に向け取り組む」との挨拶をいただきました。
 
 狭山事件のビデオ上映の後、石川は「背負っても背負いきれないほど重いこの『殺人犯』のレッテルをはがしていただきたい。第三次は一にも二にも『事実調べ』をさせることが重要なのでご理解とご支援を」とお願いしました。

 その後、曹洞宗・人権擁護推進委員会Nさんから「狭山事件と曹洞宗の取り組み」と題し「毎年人権学習会を持っているが、今年はその後で、『曹洞宗と部落差別問題・狭山事件』のビデオを見ていただきたいと考えている。曹洞宗としても狭山事件は部落差別に基づくえん罪事件として取り組んでいる。一人でも多くの人に狭山を知っていただきたい。事件の背景に部落差別がある。社会が部落差別を見過ごしてきた。部落差別の問題は私たち自身の問題である。曹洞宗としてしっかり取り組みたい。そのことを伝えていただきたい。人権とは人が幸せに生きる権利である。われわれにはそれを守る使命と責任がある」とお話がありました。第三次再審をこれから進めていく私たちにとって、大きな力であり、展望が開ける思いでもありました。

 狭山事件は現在係争中の事件であり、狭山事件に対するとらえ方も、考え方もさまざまにあろうかと思います。しかし、それらの問題点を克服しながら取り組みを進めて下さっている皆様に心から感謝しています。
 狭山事件を知っていただければ、狭山事件には部落問題が関わり、教育の問題が関わり、そして警察の、マスコミの当時のありようを知るとき、決して見のがしてはならない多くの問題点が見えてきます。
 その中で司法のありようも見えてくるはずです。狭山裁判はこれまで「別件逮捕・代用監獄・不当な接見禁止・取調室の可視化・証拠の不開示」など司法の民主化を問い続けてきた闘いの歴史でもあったと思います。 
 
 今までに、数多くの『えん罪』が明らかになり、司法にも誤りがあることが明白になっています。たとえ司法であろうとも(司法だからこそ)そこに間違いがあれば疑問点を指摘し、糾すことは当然であろうと思います。

 部落解放同盟・神奈川県連 Mさんから「部落解放運動に出会うきっかけは狭山事件だった。東京に出てきた学生時代、1枚のチラシを受け取った。『狭山事件の石川一雄は無実です』と書いてあった。私はそれ以前13歳のころ『極悪非道の石川一雄』と書いてある雑誌のグラビアを見ていた。だからこれはどういうことなんだと思った。これまで裁判でここが山場といわれたときが何度かあったが、事実調べが1度も行われないまま裁判所の判断だけがあった。3月の棄却決定は『鑑定そのものが必要ない』といっている。鑑定そのものに疑問決定を出したことによって、この一点だけでも開始の可能性が高まったのではないか。今回このような決定を出されたことによって、第三次へと力強く前進していけると確信している。80歳を超えた母が今回の棄却決定が出たときに電話をくれた。狭山事件との出会いがあり、今日の私がある。狭山事件の学習会を持っていただいたことに心から感謝している。狭山事件のこれからをぜひ前向きに見守っていただきたい」と挨拶を頂きました。それを聞きながら、私も狭山事件に出会っていなかったら、この場にはいなかっただろうし、人権問題や狭山を、このように真摯に闘っている多くの皆さんともで会うことはなかっただろうと思いました。