2007年7月24日〜25日、群馬県・水上町のみなかみ観光会館を主会場に、部落解放第39回東日本研究集会が開かれました。
 
 第一日目、全体集会のシンポジウム「えん罪と人権を考える」はコーディネーターに木村清さん(弁護士・狭山弁護団) パネリストは、袴田巌さんの再審を守る会の鈴木武秀さん、住民の人権を守る会 武田佐俊さん、鹿児島県議会議員 中山信一さん、狭山事件の石川一雄の4人でした。中山信一さんたち(13人)は鹿児島選挙違反事件で、ありもしない事件をでっち上げられ、中山さんは395日間という長期拘留され、裁判も含め、全員の無罪判決をかちとるまで4年近くもかかりました。武田さんはその支援活動をされてきました。
 コーディネーターの木村さんから@えん罪が市民の身近なところで発生している A虚偽自白強要の体質は今も変わらない B自白偏重・強引な捜査は、えん罪事件に共通している Cえん罪防止のためには、代用監獄をなくす、取調べの可視化、証拠開示等、司法の民主化と、疑わしきは被告人の利益に(無罪推定の徹底)という原則が裁判官に徹底していない等、問題点が出されました。
中山さんはご自分の体験から「報道、警察、検察、裁判所がチェック機能がいかに無いか、今回のことでよくわかった。人質司法を実感した。調書は書き換えられる。事件は簡単に作られる。私の事件はえん罪というより、警察の犯罪だ。真相の究明と可視化をやっていただきたい。逮捕した人をどうだまして、どう認めさすのか、ということに汲々としているのが今の警察の状態だ。私も1回認めた。逮捕されたら有罪が確実という今の司法があり、、意識が朦朧となる中で、先のことより、今一瞬でも楽になりたいと思わせる過酷な取調べと過酷な環境のなかで、いかに早く出たがるか。中に入ったものでないとわからない。何も無かったことが、あったことにされ、何も無かったということが裁判で証明されるのに4年かかった。現状の裁判は簡単に無罪はとれない。裁判官は検察のほうに顔を向けている。取り調べの可視化は最初から最後までしないとえん罪はなくならない」と話されました。
鈴木さんは「えん罪は身近に起こる。狭山事件と袴田事件のマニュアルは変わらない。20年事件に関わってきた。2004年最高裁に棄却された。2005年3月『再審を求める会(新)』が発足した当時は展望が見えなかった。世論を盛り上げるしかないということで元チャンピオンの輪島さんたちが関わってくれることでマスコミが少しずつ動きだした。今年、元裁判官で袴田さんに『死刑』判決を出した元裁判官が『無罪の心証を持っていた』とマスコミに発表し、一気に袴田事件が広がった。苦しい時期が長かったがようやく運動の具体的なイメージが見え始めた。今年の後半が山場と思い、闘いを展開していく」
武田さんから「闘いから逃げても司法・国家の反動は逃げない。闘いから逃げても人権侵害は逃げない。鹿児島の闘いを狭山に袴田に、どう結びつけるか、他のえん罪事件と連帯し闘うことが大事」と話されました。石川は今後の決意を述べました。

 木村さんから「再審の扉を開けるために司法の民主化や、証拠開示、証拠調べ、事実調べ、現場検証を迫る闘いが重要。今度この集会が開かれるときは袴田さん、石川さんのうれしい報告ができるよう、集会参加者の皆さんのお力添えを」と訴えられました。

 翌日「狭山事件の真相と再審闘争」の分科会で木村さんから再審の扉を開けるポイントとして、多くのえん罪事件や、市民と連動し、運動を広めること。司法の問題点を明らかにし民主化していくことなど、具体的でわかりやすいお話がありました。
 
 埼玉県内には7つの住民・市民の会が結成され、その7団体を結集して「石川一雄さんを支援する会埼玉連絡会」が作られています。その一つ「狭山事件を考える児玉地区住民の会」永尾さんから、狭山や部落問題との出会いや「連絡会」と「住民の会」の1年の活動報告がありました。「今年5月23日の狭山集会で辛淑玉さんの『負けてはいけない闘いがある。それは狭山の闘いだ』といわれた言葉が胸を突き上げた。ずっと闘いつづける事で、真実や展望が見えてくる。2005年、2006年と全国同和教育研究集会で狭山の発表をしている。これからも続けたい。狭山の闘いはすごく大事。日本の民主主義を支えてきた。えん罪はすぐ作れる。人権教育で狭山問題は重要でやっていかなくてはならない」等話されました。永尾さんの教育や、子どもたちに対する熱い温かい思いや、差別を断罪する気持ちが伝わってきました。永尾さんのお話をもっともっと伺いたかったのですが、時間の関係で十分に伺うことができ無かったことが残念でした。
鈴木さんが、苦しくてもあきらめないで地道に活動し続けていくと結果がでる、と話されたましたが、狭山も同じ思いで闘いを続けています。
会場からも質問・感想等だされました。
中身の詰まった、充実した2日間でした。

 遠く鹿児島から中山さん、武田さんが、徳島からは木村さん、そして袴田さんの支援を続けている鈴木さん、報告をしてくださった永尾さん、全体会、そして分科会に来て下さった皆さん、ありがとうございました。